消費増税法案

公開日 : 2012年4月5日


 
 政府が国会に提出した消費増税関連法案は、消費税率の引き上げに加え、所得税と相続税の最高税率を引き上げることで高所得層や富裕層への課税を強化する内容。消費増税で低所得層の負担感が強まる「逆進性」に配慮し、所得の再分配機能を高める狙いのようだが、富裕層への課税強化は消費の落ち込みにつながり、経済の活力を奪うとの指摘もある。
 
 所得税は45%の最高税率区分を新設し、課税所得5,000万円(給与収入5,536万円)超に適用。これまでの最高税率は40%で、1800万円超が対象だった。2015年分の所得から適用され、最高税率の引き上げは2007年以来の8年ぶり。
 
 相続税も最高税率を55%に上げ、6億円超の課税対象資産に適用。現在の最高税率は3億円超の部分にかかる50%。2億~6億円の階層の税率も見直し、現状より高い税率を課す。

 贈与税は3000万円以下の贈与にかかる税率を軽くし、高齢者から現役世代への資産移転を促す。
 
 年金では2015年10月から、年収77万円以下の低所得者の基礎年金に月額6,000円を加算する。年金の受給資格を得るために必要な期間も現在の25年から10年に短縮し、年金をもらえない高齢者が発生しにくくする。年収850万円以上の高所得者の年金は減額し、低所得の高齢者に年金を重点配分する。
 
 さらに、これまで社会保険の恩恵を受けにくかったパート社員が厚生年金や企業の健康保険に入りやすくする。現在は勤務時間が週30時間以上でなければ加入できないが、16年4月からは「週20時間以上で年収94万円以上」などに加入要件を緩める。ただ、従業員501人以上の大企業が対象で、中小企業で働くパート社員には恩恵がない。

 

閣議決定した一体改革関連法案の内容
税制抜本改革
消費税	2014年4月に8%、15年10月に10%に引き上げ
	経済状況の好転が「条件」
	11年度から20年度までの経済成長率を平均で名目3%、実質2%に近づける施策を実施
	経済の激変に備え、経済状況を「総合的に勘案」し、引き上げ停止も可能に
所得税	45%の最高税率を新設し、課税所得5,000万円超に適用
	15年分の所得税から実施
相続税	【基礎控除の縮小】
     定額控除を5,000万円→3,000万円
	法定相続人1人あたりの控除を1,000万円→600万円に
	【税率構造の見直し】
     相続財産2億~3億円、6億円超の課税を強化
贈与税	【税率構造の見直し】20歳以上の人が直系尊属から贈与で受ける場合
	3,000万円以下の税率は緩和
	4,500万円超は最高税率55%を新設
社会保障改革
年金	低所得者の基礎年金に月6,000円を加算
	年金がもらえる受給資格期間を25年から10年に短縮
	高所得者は基礎年金を最大半減
	産休中の保険料免除
	パート社員の厚生年金、企業健保への加入を拡大

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