夏のボーナス
公開日 : 2012年7月27日
2012年夏のボーナス調査で、全35業種中、半数近い17業種で前年を下回った。3年ぶりのマイナスとなった製造業は7割にあたる12業種が減少。非製造業は5年連続マイナスだが、外食など多くの業種は増額を確保しており、大幅に落ち込んだ電力を除くと前年比プラス。
製造業でも最も落ち込み幅が大きかったのは鉄鋼で、13.52%減。最大手の新日本製鉄が14.28%減になったほか、前年に9割近く増減した山陽特殊製鋼も今年は 4.34%減となり、円高や燃料費、電気代などのコスト増が響いた。
自動車・部品は4.48%減。日産自動車は震災の影響を海外販売の拡大などでカバーしたものの、円高の定着など経営環境が厳しい情勢にあると判断し、前年比1.87%の減。
3.25%減の電機では、村田製作所が12.82%減となり、TDK、オムロンなども減少。円高や原料高による業績悪化を反映し、ソニーなど電機大手に加え、部品メーカーでも減少が相次いだ。
製造業で前年を上回ったのは造船や機械、ゴムなどの5業種で、三浦工業は東日本大震災の復興需要などで主力のボイラー事業が好調なため、支給額は28.33%増。アンリツは中国やインドで計測装置が伸び、支給額が100万円を超えた。
一方の非製造業は18業種のうち、マイナスは電力やガス、建設など5業種のみ。外食・その他サービス(7.08%増)、専門店などのその他小売業(4.54%増)、商社(1.81%増)などは軒並み増額。医薬品卸のスズケンは物流効率化や経費削減で2012年3月期は経常増益となり、支給額は13.68%増えた。
10万円刻みのボーナス支給額分布で最も多かったのは60万~70万円未満の153社。昨年の70万~80万円未満から水準が下がった。前年夏と比較可能な587社の中でボーナス支給額が前年を上回ったのは48%にあたる279社にとどまった。
また、同年代の大卒社員間でボーナス支給にどれほど格差があるかを聞いたところ、最大で「1.5倍以上」と答えた企業は前年比2.6ポイント増の42.3%で初めて4割を超えた。全体の支給額が落ち込む中でも、優秀な社員には積極的に報いようとする実力主義が鮮明になっている。
特に上昇が目立ったのは最大格差が「1.9倍以上」と答えた企業で、前年よりも4.5ポイントも多い25.2%となった。最も多かったのは「1.1倍以上~1.3倍未満」で、0.4ポイント増の27.8%だった。
支給額ランキング 社 名 税込み支給額(円) 2011年夏比増減率(%) 平均年齢(歳) 1 キャノン※ 1,140,000 - 40.1 2 積水ハウス※※ 1,136,700 14.49 35.6 3 ローム 1,090,000 0.00 m35.0 4 日産自動車※ 1,074,500 ▲1.87 41.7 5 武田薬品工業 1,059,000 ▲2.21 m35.0 6 サッポロビール 1,054,380 ▲5.63 40.0 7 アンリツ 1,004,970 25.36 39.1 8 大垣共立銀行※ 1,003,000 - 35.6 9 CKサンエツ※※ 1,000,000 0.00 34.5 10 アイホン※※ 987,765 0.95 35.9 11 資生堂 ■984,814 - 39.9 12 三浦工業※※ 981,100 28.33 35.3 13 日本たばこ産業 980,000 4.25 m35.0 14 パラマウントベッド 976,203 13.20 37.1 15 日本海洋掘削※※ 974,023 ▲12.32 30.1 16 アサヒビール 972,660 ▲2.47 m35.0 17 キリンビール 961,200 ▲5.72 m35.0 18 日本IBM※ 958,700 ▲0.28 38.8 19 アステラス製薬 958,000 0.00 m30.0 20 NTTドコモ 954,000 - m40.0 (注)(※は従業員平均、※※は労組なし、無印は組合員平均など。 ■はプラスアルファあり。mはモデル方式。▲は減、-は非公表、算出不能