建築業者から紹介手数料(29年5月9日)
公開日 : 2017年5月9日
相続税対策を背景に拡大している賃貸アパート向けの融資で、一部の大手地銀が顧客を建築業者に紹介する見返りに手数料を受け取っていることが金融庁の調べで分かったようだ。請負金額の最大3%に上り、請負額が増えるほど銀行の手数料が増える。建築費を低く抑えたい顧客との間で利益相反が生じる懸念があり、金融庁は顧客本位の原則に沿って是正を促す方針。
アパート融資は2015年の相続税制の改正で課税対象が広がったのを機に全国で需要が急増し、2016年中の同融資額は前年を2割上回る3兆8,000億円と過去最高を更新。地方を中心に人口減が加速するなかアパートの空室率が上昇したり、家賃保証をめぐるトラブルも増加している。
一部の地銀はアパートの建築から家賃徴収などの業務を一括して請け負う業者と顧客紹介の契約を締結し、銀行が節税ニーズのある顧客を請負業者に紹介する見返りに、手数料を受け取っている実態が浮かび上がった。
0.5~3%程度が手数料の相場のようで、手数料は建築費に上乗せされ、最終的に顧客の負担が増えている可能性がある。
金融庁のアパート融資調査では、空室率上昇で家賃収入だけではローンの返済をまかなえず、給料から返済したり、返済条件を変更したりする事例も見つかっている。
*アパート融資
日銀によると2016年12月末の融資残高は前年同月比4.9%増の22兆1,668億円で2009年の統計開始以来、過去最高を更新。
2015年の相続税制の改正で基礎控除が減り、これまで相続税を払う必要がなかった層が新たに含まれることになったため、銀行からの融資で控除を増やし、所有地にアパートを建て土地の評価額を下げたりする節税効果に資産家らが着目し、短時間で需要が急増した。