高所得者ほどふるさと納税活用
公開日 : 2018年10月22日
2017年にふるさと納税で寄付した人が課税対象者の5%弱、300万人弱になったことが分かった。市区町村別では東京都中央区など13市区で10%を超えた。平均所得が多い自治体は寄付者の割合が高く、都市部からの税源流出につながっているようだ。
総務省の2018年度「ふるさと納税現況調査」によると、2017年1月~12月に寄付をして市町村民税の税額控除を受けたのは295万人、2017年度の市町村民税の課税対象者の4.7%。
市区町村の中で寄付者の割合が最も高かったのは東京都中央区で、次いで港区、千代田区と東京都心3区が3位までを占めた。10%以上となった13市区のうち、東京23区以外は兵庫県芦屋市、東京都武蔵野市、千葉県浦安市だけだった。
13市区は高所得者が多いエリアで、1人当たりの課税所得は13市区の単純平均で634万円。寄付者の割合が5%以上10%未満の178市区町村の課税所得の平均はは357万円、2%以上5%未満は648市町村で課税所得の平均は295万円。割合が高いほど、課税所得が高い。
その理由の一つは、納税額が多い高所得者ほど控除を受けられる税額の上限が多いため。
1人当たりの年間寄付額でも、港区や千代田区は全国平均(11万円)を大きく上回った。
寄付者の割合が高い自治体は、社会福祉や教育文化などに充てる一般行政経費が少ない傾向がある。住民1人当たりの一般行政経費は、13市区は平均15万円だったが、13市区以外は20万円超となった。
ふるさと納税を積極的に利用する住民は、地元自治体の行政サービスに不満を持っている可能性があるようだ。
ふるさと納税の寄付者割合
(単位%、、万円)
順位 市区町村 寄付者割合 寄付単価
① 東京都中央区 18.8 18,1
② 東京都港区 17.6 33.3
③ 東京都千代田区 17.0 29.1
④ 東京都文京区 15.3 17.6
⑤ 東京都渋谷区 12.5 27.3
⑥ 兵庫県芦屋市 12.3 22.0
⑦ 東京都目黒区 12.3 20.2
⑧ 東京都新宿区 12.0 16.7
⑨ 東京都品川区 11.9 14.2
⑩ 東京都江東区 11.8 13.1
税理士
西原 弘二