10年間放置の預金は注意
公開日 : 2018年10月30日
10年以上放置された預金は休眠預金と呼ばれ、今年1月に施行した休眠預金等活用法によると、全金融機関に対し「入出金」があれば休眠預金に該当しないよう義務付けた。財形貯蓄や外貨預金は対象外となる。
2019年1月は新法施行後、社会事業に活用できる休眠預金が初めて誕生するタイミング。各金融機関が登録住所に郵送などで通知し、受け取ったことを確認できれば、休眠預金ではない。
もっとも、休眠預金は国が「没収」する訳ではない。憲法の財産権を守る必要があるため、いつでも請求すれば払い戻しは可能。通帳や口座番号など過去の取引を確認できる書類を用意した上で、金融機関に問い合わせれば、預金を取り戻せる。通帳や印鑑、免許証などの本人確認書類を持参すれば銀行の窓口で引き出せる。
しかし、注意点は多く、まず「本人が申し出る必要があること」だ。最も多いケースは引っ越した後、登録住所を変更していない場合。そもそも本人がどの銀行に預金していたかを忘れてしまったり、本人が認知症で思い出せなかったりする場合も取り戻すのは難しくなる。本人が休眠預金の存在に気付かなければ、失ってしまったことと同じになる。
次に「金融機関ごとに微妙に定義が異なる点」だ。例えば「通知」。1万円未満は国が金融機関に通知を義務付けていないためだ。もう一例は「取引」。「入出金」はすべての金融機関に義務付けるが、「通帳の記入・発行」「残高照会」「情報変更」などの手続きだけでは休眠預金とみなす銀行が出てくる可能性がある。
各金融機関はすでに店頭ポスターなどで注意喚起を始め、年内から通知を始める。三菱UFJ銀行は10月末、三井住友銀行は来年5月、みずほ銀行は6月をめどに発送する予定。金融機関が国の預金保険機構に資金を移すのは2019年秋。国はそれまでに資金を配分する団体を指定し、NPOなどを探す計画だ。
日本は、普通預金と定期預金を合わせると1人あたり10口の公算で、英国(2口)やフランス(1口)を大きく上回る。
税理士
西原 弘二