特定扶養控除、給与所得控除の縮小検討

公開日 : 2009年11月2日


 政府税制調査会は、2010年度税制改正で所得税の控除制度を大幅に見直す検討に入った。一般の扶養控除に加え、16~22歳の高校・大学生らの子どもがいる場合に適用する「特定扶養控除」の額を縮小し、給与収入から一定額を差し引く「給与所得控除」にも上限額を設ける方向で調整するようだ。
 

 政府は、所得税の課税について「控除から手当へ」という方針を掲げている。来年度から半額での支給が始まる子ども手当(1人当たり月13,000円)とのバランスから、所得金額から扶養親族1人あたり38万円を差し引く一般扶養控除を廃止する方針は固まっている。
 

 特定扶養控除は、16~22歳の扶養親族1人あたり63万円を課税所得から差し引くことで、高校生や大学生の教育費負担を考慮して税を軽減する控除制度。だが、高校の授業料無償化が始まれば、高校生を抱える家庭は実質的に「二重取り」が可能となる。このため税制調査会は、子ども手当や高校無償化の設計と連動して控除見直しの詳細を詰める方針。
 

 両扶養控除の見直しによって、扶養親族への手当などの恩恵が受けられない世帯では負担が増し、大学生や浪人生、成年の扶養家族がいる家庭では増税となる可能性が大。税制調査会では、このようなケースの負担緩和策も検討するようだ。
 

 一般扶養は8,000億円、特定扶養は5,000億円の減収要因なので、見直しが実現すれば数千億円の財源を確保できる。民主党マニフェスト(政権公約)では、特定扶養は見直し対象に含めない方針を明記していたため、実現すれば、公約違反になるだろう。

  一方、給与所得者の収入金額から一定額を差し引く給与所得控除については、収入金額2,000万円の控除額を目安に、ある程度上限を設けた方がいいとし、高額所得者に負担を求めていく方針。

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