課税処分への審査請求が増加

公開日 : 2010年8月29日


 国税当局からの税金の申告漏れなどを指摘されて追徴課税された企業が、処分の取り消しを求めて訴えるケースが増えている。2009年度の国税不服審判所への審査請求件数は、2006年度から約3割増加。

 国税不服審判所への審査請求件数は、年々増える傾向にあり、2009年度は3,254件。2008年度に比べて14・8%増で、2006年度比では29・9%の増加。

 国税不服審判所は、審査請求に対して、3人の審判官の議決に基づき、「裁決」という結論を出す。裁決の結果、課税処分を取り消すなど納税者側に有利な裁決を出したケースは、ここ数年15%程度で推移。多少の増加傾向にはあるが、大半は退けられる。

 企業活動の複雑さに税制の対応が追いつかず、課税処分への不満が広がり、企業としては、訴えが認められなくても、審査請求や裁判での司法判断を通じて、納得のいく説明や明確な基準を求めたいという意向もあるだろう。ただ、体力のある大企業ならば可能だろうが、中小企業には、まだまだ壁は高い。

「国税不服審判所」
 企業や個人が国税当局の課税処分に不満があると、まずは税務署か国税局に処分の見直しを求めて異議を申し立て、その結果にも納得できない場合、国税不服審判所に判断を求める。これが審査請求だ。
 不服審判所は東京の本部のほか、全国に12支部と7支所がある。審判官は国税当局の出身者が大半だったため、「身内が審査するのでは中立性が損なわれる」という批判も根強かったため審判所は、2007年から弁護士や公認会計士など民間からの職員登用を開始。
今年7月10日現在で審判官165人のうち26人の民間人が採用されている。
 審判所に認められないと、裁判所に訴訟を起こす。ここ数年で裁判にまで至ったケースは、年間約300件~400件で推移。このうち最終的に国税側が敗訴したケースは、10%前後。

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