海外保有資産の課税強化

公開日 : 2011年12月9日


 政府は2012年度税制改正で、海外保有資産の課税強化に乗り出す。個人に海外にある保有資産の報告義務を課すようだ。政府税制調査会で検討し、2012年度の税制改正大綱に盛り込む方針。
 
 海外に資産を持つ個人に対しては税務署への年1回の報告を義務付ける方針で、海外にある預金や株式、不動産などの総資産が5,000万円を超える個人が対象。税務署が海外での預金利子や株式配当を正確に把握し、所得税や相続税を課税できるようにする。違反した場合は1年以下の懲役などの罰則を設ける方向。
 
 いまのところ、納税者には報告義務は無く、税務当局が適正に納税しているかを調べているが、調査権限のない海外金融機関などに情報提供を求めるのは難しく、資産の把握が難しかった。
 
 米国では残高が10,000ドル超の海外口座を持つ個人や法人には報告が義務付けられており、ドイツやフランス、韓国にも同様の制度がある。
 
 日本の居住者が保有する海外資産は、日銀の統計によると、2000年には対外証券投資は6.3兆円、外貨預金は3.8兆円だったが、2010年にはそれぞれ9兆円、5.4兆円に膨らんだ。これに伴い、申告漏れ件数も増加。国税庁によると、海外資産にかかわる相続税の申告漏れは2010年7月~2011年6月で116件と前年同期に比べて36%増加。

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