若年層の借金増加

公開日 : 2019年8月31日


 若い世帯の借金が膨らんでいるそうで、2018年の20~30代の負債残高は政府による現行調査が始まった2002年以降で最高となった。
 持ち家志向が強く、住宅ローン残高が増加しており、ローン金利の低さなどから「賃貸住宅に住むよりも得」と判断した人が多く、負債を抱えたことで普段の消費は節約に努める傾向のようだ。
 日本総合研究所が国勢調査をもとに調べたところ、30代の持ち家比率は2000年に46.6%だったが、2015年に52.3%まで高まった。
 総務省の家計調査(2人以上の世帯)によると、世帯主が30~39歳の家計の全負債額は2018年に1,329万円と、調査が始まった2002年以降で最高。2002年比で1.8倍。29歳以下も675万円と2.7倍。
 企業が社宅や賃貸補助を減らしたことが影響しており、経団連によると企業の住宅関連の福利厚生費は2017年度に従業員1人当たり月1万1,436円。ピークの1996年度に比べ3割減。低負担で賃貸住宅に住みながら貯蓄する機会が減り、購入に踏み切るタイミングが早くなっている。
 日本政策投資銀行は総務省による5年に1度の全国消費実態調査をもとに2人以上の勤労者世帯を分析し、1999年には住宅ローンのある世帯の方が住宅ローンのない世帯より消費支出が多かったが、2004年に逆転。2014年にはローンのある世帯が月31万3千円だったのに対し、ローンなしの世帯は33万1千円だった。
 今は低位で安定している金利が上がれば、ローンを抱える世帯がさらに消費に慎重になる可能性がある。住宅金融支援機構の調査によると、 2018年10月~2019年3月に変動金利で借りた人の割合は60.3%と過去最高。10年前に比べると15ポイント以上も高くなっている。
2018年の家計調査によると、世帯主が30代の家計の負債(1,329万円)に対して貯蓄は631万円。負債は貯蓄の2.1倍で、10年前の1.3倍から急拡大している。

税理士
西原 弘二

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