保証協会の収支悪化

公開日 : 2009年7月14日


 全国52の保証協会の収支を示す「当期収支差額」の合計は2008年度に38億円の黒字となり、前年度から94%減少。積立金や資産を取り崩さなければ実質的に赤字だった協会は、20協会で、全体の約4割。保証協会では、企業倒産の増加に伴い債務の肩代わりが増えていて、保証協会の財務基盤の悪化が進めば、中小企業向けの融資に信用保証を付けるのが難しくなる可能性もある。
 

 保証協会は、中小企業から保証料を受け取り、民間金融機関の中小企業向け融資に保証を付けていて、倒産などで企業が支払い不能に陥った場合には、原則として債務の8割を肩代わり返済する仕組み。昨年10月末に政府が導入した「緊急保証制度」など一部の保証については、全額を肩代わりしている。
 

 代位弁済は、02年度をピークに減少傾向にあったが、原油価格の高騰や建築基準法改正による住宅着工の遅れの影響などで、中小企業の経営が厳しさを増し、07年度から上昇に転じた。昨秋以降は景気の悪化で返済が滞る企業が増加し、08年度の代位弁済は前の年度より3割増えて、1兆円を突破した。
 

 民間調査会社によると、今年6月の全国の企業倒産件数は、前年同月比7・4%増の1,422件。保証協会は、代位返済の大半を日本政策金融公庫から受け取る保険金で賄っていて、代位弁済が生じた場合に保険金を受け取れるように、あらかじめ保険料を日本政策金融公庫に納めている。
 

 保険金で賄いきれない部分については、地方自治体などからの支援で穴埋めしてきたが、多くの自治体は深刻な財政悪化に陥っており、保証協会への支援は難しくなりつつある。
 

 自治体などから支援を受けられない場合、保証協会は積立金を取り崩すなどして対応することになるだろう。そうした場合、財政の悪化を避けるために、保証協会は信用保証をつけることに消極的になることが懸念される。
 

 政府は、09年度の補正予算で日本政策金融公庫や保証協会の財政基盤の強化に向けて1兆1,000億円の資金を充当している。ただ、闇雲に資金を投入するのではなく、投入した資金が無駄にならぬようにして欲しいものだ。最終的には、無駄使いの代償は国民が負担するのですから。

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