失業給付、1兆円超に
公開日 : 2010年3月19日
雇用保険から払われる失業給付の総額が、2009年度に1兆円を大幅に上回り、6年ぶりの高水準となる可能性が高い。失業給付は、雇用保険の加入者が、解雇や転職などで職を失った場合に、賃金の一部を90~360日間にわたって支給する制度。財源は労使で折半する保険料と税金で賄っている。
厚生労働省によると、2009年4月~12月の給付額は、1兆154億円と前年同期に比べて60%の増加。昨年末時点ですでに、2004年度(1兆499億円)以来5年ぶりとなる1兆円の大台に乗せている。年明け以降も失業者数が高水準で推移しているおり、さらに増える見込み。
失業保険の1カ月当たりの平均受給者数は、2009年4月~12月では、902,800人で、2008年度より 48%増加。給付額、受給者数はともに2001年度に過去最大を記録しており、それぞれ2兆136億円、 1,106,400人に達していた。
2009年4月~12月の1人当たりの平均受給額は、約12万円で、2001年度(15万円)や2003年度(14万円)より少ない。受給額は、失職前の賃金水準によって給付額が大きく変わる仕組みになっている。2000年から2003年は、ITバブル崩壊の影響で正社員のリストラが急増したため、受給額は多い。これに対して2008~2009年にかけて大量に職を失ったのは、派遣社員など比較的給与が低い非正規労働者だった。
2010年度からは、雇用保険法の改正によって、保険の加入要件である雇用見込み期間が、従来の「6カ月以上」から「31日以上」に短くなることで、新たにパートなど約255万人が雇用保険の対象に加わる予想。
労使が折半する雇用保険料率は、2010年度から賃金の0・8%から1・2%に上がることになっている。雇用情勢が改善されなければ、さらにあがる可能性もあるだろう。